日本習字で学ぶ 正しい文字 美しい文字

日本習字フォートリー支部、支部長の中村です。

日本習字、フォートリー支部のホームページにお越しいただきまして、ありがとうございます。

アメリカのフォートリーで支部を開設し、習字教室を始めたのが２５年も前になるということを思うと、月並みではありますが、信じられないほど月日の早いことがあらためて感じられます。

その間、日本に帰国する多くの子供たち、北米の他の地区や別の海外の地域に移動する子供たち、成人会員の方々があり、新しい出会いを経験するとともに、多くの会員の方々を送り出しても来ました。日本の支部でももちろん、引越しや学校の卒業などがあり、会員を送り出すことはすくなからずあるとは思いますが、駐在員の多いアメリカ、ニューヨーク、ニュージャージーにあっては、２〜３年もすれば会員の顔ぶれがほとんど入れ替わってしまうようなこともあり、やはり海外での生活は、日本にはないダイナミックさがあります。

そのような意味では、日本人が比較的多いといわれるニューヨーク、ニュージャージーにあっても、習字というきっかけでもってこの広いアメリカの地で出会い、習字を学ぶというひと時を共有し、同じ時間を過ごすことができるということは、奇跡といえることなのかもしれません。“一期一会”という古い言葉が示すように、ほんとうに貴重な出会いであると感じます。

しかし、私たちの生活が日本でも、アメリカでも、あるいは他の地域でも、途切れることなく続いてゆくように、日本習字での習字の研鑽も、私たちがその高みを望む限り、途絶えるということはありません。フォートリー支部で習字を習っていた生徒の多くは、日本でも支部を見つけ、自ら研鑽を続けています。習字が楽しいから、自分に向き合える大切な時間だから習字はやめたくない、できる限り続けてゆきたいと移転先の日本や海外からの便りが届くとき、“一期一会”というのは、実は、瞬間々々を大切にすることで、決して別れを惜しむような気持ちからのものではないことに気がつきます。

習字は、字がうまくなることだけではない。書に向き合ったとき、多くの人は自分の心や気持ちが字に表れるといいます。自分の良いところも悪いところも書のなかにさらけ出しながら、切磋琢磨する中で書に向かう気持ちが高められ、自らの心が成長することを感じるとき、書に向かう一瞬一瞬が、私たちの研鑽の場なのであると感じます。書には、そのような厳しい側面があります。

しかし、それでも習字は楽しくやるもの、学力や実力は良いところを見つけて、褒めて伸ばすものと考えています。幼い日に、私を褒めてくれた父がいたから私は習字が、書道がすきになれたのだということを思うとき、生徒会員でも成人会員であっても、私は、その人の良いところを認めて、伸ばしてあげたいと思います。思うように書けないときがあっても、自分の字が好きであってほしいと思います。日本習字の会員には、支部の皆さんには、そのような人であってほしいと思います。

フォートリー支部は、楽しく習字が学べるところです。その人の字の良いところを見つけるということは、その人の良いところを見つけるということだと思います。そのような意味でも、楽しく学びながら、褒めて伸ばすことを信条として、これからも支部を運営し、習字教室の指導をしてゆきたいと思います。

会員の皆様におかれましては、これからも、よろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。